日本のあれこれ その1
昭和三年(一九二八)当時、政治評論家の馬場恒吾はこう書いています。
「現内閣を組織してゐる田中首相及びその閣僚は、彼等自身ではそのやってゐることが何であるかを知らぬであらう。
しかし我々は恐れる。
彼等の行為は、過去五十年にわたって日本人が努力して築きあげて来た立憲政治に一つの区切りをつけ、日本の政治的発展に方向転換をなさしめるものではないかと。
我々は自由な明い政治を持つ力法として、議会の発達に希望をつないできた。
然るに普通選挙の実施を一段階として、現在の政府は反動政治の幕を切って落しました。
明い政治は暗い政治に方向転換をしました。
我々はこれより、もっとも陰醗にして危険なる、絶望的にして不愉快なる時代を経過せねばならぬかの予感におそはれてゐる」(『政界人物風景』)不幸にしてこの馬場の予言はぴたりとあたりました。